一人目の恋人の話。
「好き」だけで気持ちよくなれたら。
そんな夢を抱くようになったのはいつからだろう。
セックスは別に気持ちいいことじゃないんだなって身体に刷り込まれた時期が、無かったといえば嘘になる。
とはいえ、年端もいかない中学生に技術を求められるわけがない。
激痛を伴う喪失。求められることの喜び。
色々な感情を知った時期だった。
当時は「14才の母」というドラマが話題になった。それを観て少しだけ、怯えたりもした。
しかしそれ以上に抑圧されたものが全て性的逸脱に流れていく、「逃避」が何よりも気持ちよかった。
多感な時期の真っ直ぐな愛情は、生まれたてのナイフのようだと思う。
熱され叩かれてこの世に生まれ落ち、姿は見惚れるほどに美しく、しかし触れる者を傷つける。
彼の手首に刻まれた幾つもの傷は、今どうなっただろうか。
自分の腕の同じ場所を指でなぞるとき、ふと思い出す。