最初で最後(その2)
彼のベッドを借りて寝ることになった。
彼は床に寝袋をしいて寝ようとしていた。
申し訳なくなって、
「至れり尽くせりですみません。○○さんには、甘えてばかりです……」
とベッドの上に座って謝った。
でも、手を繋ぎたくて手を伸ばすと、床で膝立ちになって、彼はすぐに両手で握り返してくれた。
夢見る少女のようだけれど、私にはそれが、助けに来てくれた王子に見えた。
○○さんはもっと、甘えていいんですよ?
今までどれだけ我慢して頑張って来たんですか
優しくそんなことを言われると、私は泣きそうになった。
泣きそうになる私の隣に座って、彼は私の頭を抱き寄せて優しく撫でてくれた。
「どうして振ってるのに、そんなことするんですか?」
と私が聞くと、少し間が空いて、
……これが精一杯かと、思いまして
と答えられた。
「もう1回、キスしてください」
と彼の目を見て言うと、どちらからともなくキスをした。
この間は唇だけのキスだったが、すんなりと深いキスに移行した。