月に一度は溺れたい

不真面目に真面目なブログです。感情豊かにセックスしたい。

全部あげる

「お願い。夢中になって。
私のことは、気にしなくていいから」


長い夜だった。
3時間くらい抱き合って、
お互いの体温を求めあった。
私の中ではまだ、1度も達していない彼。
何が原因か、未だにわからないでいる。
私ばかり気持ちよくなっては、噴いたり漏らしたりと、快感の表現が激しくなっていく。


私の快感にばかり気が行って、自分の快感に集中出来ていないのではないだろうか。

どうして貴方は、他人の心配ばかりするんですか

疲弊した私に、彼は真正面からそう言ってくれた。
今の彼は、私の身体のことばかりで、自分を後回しにしているのではないだろうか?
そんなような事を何度聞いても、

男の射精なんて、大したモノではないからね。
○○ちゃんがこんなに気持ちよさそうにしてくれるんだから、やってるんだよ。

それでも私は、彼と一緒に気持ちよくなりたい。


直前に身の上話をし、こんなに人を愛して、誰かのために頑張りたいと思えたのは初めてだということを伝えた。
「好きだから、嫌われたくないから、頑張りたいの」
そう言って涙を流す私を、彼は強く抱き締めた。

○○ちゃんは、『頑張りたい』って言ってくれて、本当に頑張るでしょう。
だから私は、○○ちゃんのことが好きなんだよ。

こんなに愛されて、幸せだ……。
彼がそう呟いて、緩んだ笑顔で私にキスをする。そのまま寝室に流れた。
キスだけで濡れる私を笑い、彼にしては珍しく、すぐ挿入に移った。
挿入してもしばらく動かずに、甘い言葉と深いキスを味わった。
大好き、と呟くと、その3倍くらいの大好きが返ってきた。


射精して欲しかった。
私の快感など気にせずに、私で気持ちよくなって欲しかった。
私で気持ちよくなったことを身体に刻み込んで、離れたあとも私のことを思い出して1人でして欲しかった。
「お願い。夢中になって。
私のことは、気にしなくていいから」
どうしたらこの人は、理性を捨てて己の快感に身を任せてくれるだろうか。
「全部……全部、あげるから
私の全部、○○くんのものだから」
舌で彼の舌を舐めとると、唾液が流れ込んできた。
甘くて脳が痺れて、快感が増した。
彼は、私の喜ぶことしかしない。


いつもよりも情熱的に腰を動かす彼の背中に手を回すと、触れたことの無いくらい汗ばんだ肌になっていた。
職場では理知的で涼し気な顔しか見せない彼が、快感を求めて私の中でこんなに汗をかいて動いている。
それが嬉しかった。
ついに彼は、この夜も達しなかった。


翌日彼は朝に起きれず、昼頃のそのそと起きてきた。
私を抱きしめる彼のモノが大きくなっていたので、手でしごいてみた。
前の晩見つけた、彼の耳にある性感帯をいじめながら。

『自分のことは気にしなくていいから』なんて、
○○ちゃんらしいなって思ったよ。

彼がほとんど漏らさない喘ぎ声に、私も興奮を覚える。

だって普通は、
『私に夢中になって』
って言うところでしょう。

もう少し強く握って、もう少し下の方、とレクチャーを受けながら、彼を追い詰めていることを実感する。

○○ちゃんの全部……

嬉しかった、とにっこり笑って、昨晩の私のセリフを繰り返した彼。

俺のもの。

あ、出るっ、と切羽詰まった声を出して、彼が精を放出した。
真っ白に濃くて、大量の精子だった。
彼は射精しながら、何故か笑っていた。

なにこの量、ヤバい。

手についたとろとろを口に運んで舐めとると、とても甘い味だった。こんなに甘い精液を、舐めたことがなかった。

本当に?そんなに甘い?

彼がその様子を不思議そうに眺めて、試しに舐め出した。
しかめた顔が、可愛かった。