例え、きっかけが中出しでも(その1)
「どうして、結婚っていう気持ちになったの?」
カメラの向こうで洗濯物を畳む彼に、聞いてみた。
そりゃまあ、『結婚したい』って思ったからだよ
当然のように答える彼を、ぽかんと見つめる。
ああそれは、納得してないって感じだね
彼が苦笑いした。
ちゃんと言った方がいい?
私はコクリと頷いた。
まとまった休みが取れた日、彼の家でしばらく過ごしていた。
1週間にも満たない、ごくわずかな同棲期間だった。
生理予定日を大きく過ぎており、もしかしたら泊まっている間に生理が来るかもしれない、と少し憂鬱な気分で彼の住むところに向かった。
私は休みでも、彼は勤務日だった。
昼休憩に抜け出し、最寄りまで来た私を彼が迎えに来てくれた。
そのまま昼ごはんも彼の家で一緒に済ませる。
「ごちそうさまでした」
例え離れていても、2人で1緒に食事をとる時間が大切な私たちは、「いただきます」と「ごちそうさま」を必ず言うと決めている。
終わるや否や、彼が私を背後から抱きしめた。
これこれ、この感じ……
安心したような声で彼がそう言った。彼よりも20cmほど低い私は、抱きしめたときの収まりがいいらしい。
そのままキスをする。
久しぶりのキスは溶けそうなほど柔らかくて、気持ちよくて、声を我慢することが出来なかった。
もっともっとと彼を求めて、舌は欲張りに動く。
「なんか今日、すごいね……」
私がそう呟くと、彼も同じように思っていたらしかった。
こっち行こう
ベッドに横になって、キスの続きをする。
彼は午後にも出勤する予定だった。
「ねえ、もう14時だよ」「もう半だよ」
と声をかけるも、
そうだねえ……
とだけ呟いてまた彼はキスをする。
仕事を抜け出して快感に身を委ねてしまっているようだった。
今日の○○ちゃん、可愛すぎる……
私の体をむさぼって、ゴムをつけて彼は1度果てた。
我に返った彼はドタバタと仕事の支度をして、1時間遅れで出勤した。
遅れているにもかかわらず、玄関で何度もキスをした。