最初で最後(その10)
もう繋がってもいいと思ったが、
まだ触っていたい……
と彼が私の身体を触り続けていた。
私は焦り始めていた。
またしても私の身体が乾いてきていたことが気になり始めたのだ。
それと同時に、彼のも萎えてしまった。
いざ挿入、という場面で、柔らかいしやっぱり痛いしで、結局出来なかった。
もう1回口で、とお願いされて持ち堪えるも、やはりいざとなると萎えてしまうようだった。
確かに気持ちいいんですが、癒しの境地に入ってしまって、勃たなくなってしまいました……
バツが悪そうにそう笑って、
はぁ……かっこわる……悔しい……
と彼が落ち込んでいたのが少し可愛いと思った。
例えば元カレとしていても、萎えてしまうことなんていくらでもあったし、私は気にならなかったのだけれど。
そうして再びお昼寝タイムに入った。
16時半頃、私だけ起きる。
明日からまた仕事だし、帰らない訳にもいかないと思い、来た時の格好に着替えた。
まだ寝ている彼の枕元まで行ってしゃがんで、
「そろそろ帰ろうと思います。申し訳ないけど、送って貰っていいですか?」
と聞いた。
ゆっくり頷いて、彼が優しく私の頭を撫でてくる。
そして急に、頭を抱き寄せてきた。
本当に、行っちゃうんですか?
それが、今日自宅に、なのか、今年別職場に、なのか分からなかった。
「どこに行くことの話ですか?」
と聞いた。
彼の声は、震えていた。