いるよ。さわれるよ。(その1)
気持ちに際限がない。
ここ1,2週間の感想を答えるなら、こんな言葉になるだろう。
画面越しの彼が目の前に現れた時、それは確信に変わった。
夜、彼が待ち合わせ場所に到着した。
車で迎えに行き19時頃落ち合って、近くのラブホテルに向かう。
彼はこの日、ラブホデビュー。
私はというと、部屋に入って慣れた様子でパタパタ動いてしまった。
今思うと少し恥ずかしい。
車の中から、信号が赤になる度に手を繋いだり頭を撫でられたりと、イチャイチャが止まらなかった。
青信号になった途端に離れるので、お互い真面目だなと思ったりもした。
部屋に入って荷物を置いて、まずキスをする。
「なんでこんなに、キス上手なの?」
彼の童貞を奪った私が、彼に聞く。
うーん、と少し考えて、彼が答えた。
天性の勘。
キスの嫌いな元彼の影響で、キスはあまり上達しなかった。
彼の口の中でもごもごと舌を動かす私を、彼は小さく笑った。
ぎこちない。面白いね。
……舌を吸うのは、こうやるんだよ。
キスをレクチャーされる。
これも何だか、官能的だ。
こうやるんだよ、と教えるための丁寧なキス。
私はそんな彼の舌に、やはり翻弄されるばかりだった。
つづきます。